
おせち料理に地域差はある?
関東・関西の違いや具材の特徴を徹底解説
この記事では、おせち料理の地域差について解説します。
おせち料理の地域差が顕著に現れるのが、関東と関西です。関東では「祝い肴三種」といえば「黒豆・数の子・田作り」が一般的ですが、関西では「たたきごぼう」が入るなど、基本的な構成から異なります。
また、味付けの濃淡や、使われる魚の種類にも土地の歴史や文化が色濃く反映されています。
この記事では、おせち料理の地域差について、関東・関西の違いや具材の特徴などを踏まえて解説するので、ぜひ参考にしてください。
※この記事で紹介するおせち料理の地域差は、あくまで一般的にいわれている風習などを示すものです。そのため、すべての地域で取り入れられていることを示唆するものではありません。
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【この記事でわかること】 |
おせち料理に地域差あり?関東と関西の料理の違い

関東と関西で、おせち料理には以下の項目に違いがあります。
● 祝い肴三種の違い
● お雑煮の違い
● 魚料理の違い
● 味付けの違い
祝い肴三種の違い
おせち料理の基本である祝い肴三種は、関東と関西で内容が異なります。
関東風では黒豆、数の子、田作りの三種が一般的です。田作りは、イワシが畑の肥料だったことから、豊作を願う武家文化の名残とされます。
一方、関西では田作りの代わりにたたきごぼうを入れる傾向にあります。ごぼうは地中深くに根を張るため、「家族の土台が安定するように」という安泰の願いが込められています。
黒豆と数の子は共通していますが、この一品の違いに、それぞれの地域の文化的な背景が色濃く反映されています。
お雑煮の違い
お雑煮は、地域差が比較的顕著に現れる料理です。
関東では、のした餅を切って使う角餅を焼いて入れるのが主流です。これは「敵をのす」という武家文化に由来するともいわれます。
汁は醤油ベースのすまし汁仕立てが基本で、鶏肉や小松菜などが入り、風味付けに三つ葉や柚子を散らします。
一方、関西では円満を象徴する丸餅を焼かずに煮て柔らかくして入れます。汁は京都の公家文化を反映した、まろやかな白味噌仕立てが圧倒的に多く、里芋や大根、人参といった根菜類が具の中心です。
魚料理の違い
重箱を彩る焼き物の主役となる魚料理にも、明確な違いがあります。
関東では鮭が用いられることが多く見られ、新年の縁起物として塩鮭や幽庵焼きが重箱に入れられます。
一方、関西で絶大な人気を誇るのが鰤(ぶり)です。鰤は成長するにつれて名前が変わる出世魚の代表格であり、立身出世を願う縁起物として珍重されます。
味付けの違い
おせち料理全体の味付けの傾向も、関東と関西で異なります。
関東風は、しっかりとした濃口醤油と砂糖、みりんを使い、甘辛くはっきりとした味付けに仕上げるのが特徴です。煮しめなども含め、全体的に色が濃く、日持ちを重視した強めの味付けが多くなるでしょう。
これは江戸の武家社会の好みや、濃口醤油文化が背景にあるとされています。
一方、関西では、素材の色や風味を活かすことを重視します。昆布や鰹の出汁を強く効かせ、味付けの基本には薄口醤油を用いる傾向にあります。色は薄く上品でありながら、出汁の旨味は味わい深く仕上がるのが特徴です。
おせち料理に地域差あり?地域別の具材の違い

おせち料理には、以下のような地域別の具材の違いもあります。
● 北海道・東北地方の具材
● 関東地方の具材
● 中部地方の具材
● 近畿地方の具材
● 中国・四国地方の具材
● 九州・沖縄地方の具材
北海道・東北地方の具材
雪深く寒い地域では、保存性を高めた料理と共に、北の豊かな海の幸がふんだんに盛り込まれます。
北海道や青森の一部では、鮭の頭部の軟骨を酢漬けにした「氷頭なます」というユニークな郷土料理が見られます。
他にも、いくらの醤油漬けやアワビの煮物、子持ち昆布といった豪華な魚介類が定番です。岩手県などでは、甘いクルミのタレで野菜を和えた料理も食べられます。
関東地方の具材
武家社会の文化が根付く関東では、縁起を担ぐ品目が重視される傾向にあります。
書物や巻物に似た形から学問の成就を願う伊達巻も、関東で生まれた代表的な料理とされています。味付けは濃口醤油と砂糖をしっかり使った、甘辛くはっきりしたものが主流です。
中部地方の具材
中部地方は、東日本と西日本の食文化が混ざり合う接点です。
山間部の長野県では、かつて貴重だったクルミを使った和え物が食べられる傾向にあります。日本海に面する富山県や石川県では、関西と同様に出世魚であるブリが重視されます。
一方、愛知県の名古屋周辺では、エビやハゼといった地元の海の幸が入り、全体的に甘みの強い味付けが好まれています。
近畿地方の具材
古く都が置かれた近畿地方は、公家の文化を背景に持ち、出汁の旨味を活かした上品な料理が中心です。
お重の中央に尾頭付きの大きな鯛の塩焼きを据える家庭も多く、これは「三が日は食べずに睨むだけ」という風習を持つ「にらみ鯛」と呼ばれるものです。
中国・四国地方の具材
瀬戸内海や日本海、太平洋といった豊かな漁場に面しているため、土地ならではの魚介類が特徴です。
岡山県では、ご飯を借りに行くほど美味しいとされる、ままかりの酢漬けが郷土の味として知られています。山口県では、新年の福を呼び込むものとして、フグの刺身や煮こごりが用いられることもあります。
愛媛県はかまぼこの名産地であり、紅白のかまぼこが豊富に使われるでしょう。
九州・沖縄地方の具材
九州地方は、全体として甘めの味付けが好まれる傾向が強いです。
福岡県では、鶏肉や根菜を炒り煮にした郷土料理の筑前煮が、お正月に欠かせない一品となっています。九州北部では、ブリもよく食べられる食材です。
一方、沖縄県は本土とは大きく異なる独自の食文化を持っています。たとえば、「ウサンミ」と呼ばれる法事や祝い事で使われる重箱料理には、豚の角煮や昆布の炒め煮などが詰められ、中国の食文化や先祖崇拝の風習が強く表れています。
おせち料理に地域差あり?その他の違い

おせち料理における地域差として、他にも以下のような違いがあります。
● お重への詰め方の違い
● おせち料理を食べる日(タイミング)の違い
● 食べない地域の有無
お重への詰め方の違い
おせち料理の重箱への詰め方は、市松模様のように隙間なく詰める方法が全国的に知られています。
本来、重箱は四段重が正式で、四段目は年神様からいただく福を詰める場所として空けておく風習がありました。現代では三段重が主流です。
地域差として、石川県の加賀地方などで料理の仕切りにバラ(仕切りとして使用する緑色のシート)を多用する「南蛮詰め」と呼ばれる独特の様式が残っています。
これは見た目の美しさに加え、料理の味移りを防ぐ実用性も兼ね備えた伝統的な技法です。
おせち料理を食べる日(タイミング)の違い
おせち料理を食べるタイミングは、1月1日の元旦の朝が全国で最も一般的です。これは新年の神様である年神様をお迎えし、家族揃って新年を祝うためです。
一方、北海道や東北地方、新潟県の一部、また関東の一部地域では12月31日の大晦日の夜に食べる風習が根強く残っています。
これは年取りの膳と呼ばれ、一年の無事を感謝し、年越しそばと共におせちを囲む文化です。年神様を迎えるタイミングの解釈が地域によって異なることが背景にあります。
食べない地域の有無
日本国内において、新年に縁起の良い料理を食べる習慣がない地域は基本的に存在しません。
ただし、沖縄県は本土の文化とは大きく異なる独自の食文化を持ち、おせちにあたるものを「ウサンミ」や「重箱料理」と呼びます。中身は、豚の角煮であるラフテーや昆布の炒め煮であるクーブイリチー、揚げ豆腐、紅白かまぼこなどで、本土のおせちとは大きく異なります。
これは中国の食文化や、先祖供養の行事と正月が密接に結びついている沖縄の歴史的背景によるものです。
地域ならではのおせち料理の特徴

ここからは、日本各地で見られる特徴的なおせち料理について解説します。
● 飯寿司
● ハタハタ寿司
● 氷頭なます
● いか人参
● 赤こんにゃく煮
● にらみ鯛
● こが焼き
● べろべろ
飯寿司
飯寿司は、主に北海道や東北地方で食べられる伝統的な発酵食品であり、なれ寿司の一種です。
鮭やニシン、ホッケといった北の海で獲れる魚を、米や米麹、人参や大根などの野菜と共に樽に漬け込み、重石をして乳酸発酵させます。
冬の間の貴重な保存食であり、魚の旨味と野菜の歯ごたえ、そして麹が生み出す独特の酸味と甘みが特徴です。
おせち料理の一品や酒の肴として、北国の厳しい冬の食卓に欠かせない郷土料理です。
ハタハタ寿司
ハタハタ寿司は、秋田県の伝統的な郷土料理です。秋田県の県魚であるハタハタを主な材料とし、米や米麹、野菜などと共に漬け込み乳酸発酵させて作るなれ寿司です。
冬に産卵のために沿岸に押し寄せるハタハタを使用し、特に「ブリコ」と呼ばれる卵を持った雌のハタハタで作るものは、プチプチとした独特の食感が珍重されます。
飯寿司の一種ですが、ハタハタ特有の風味と旨味が凝縮されており、おせち料理やお正月の祝いの席で親しまれています。
氷頭なます
氷頭なますは、北海道や青森県、岩手県など北日本の沿岸部で食べられる郷土料理です。
氷頭とは鮭の鼻先の軟骨部分を指し、氷のように透き通っていることからその名が付きました。この氷頭を薄切りにし、大根や人参などの野菜と共に甘酢で和えたなますです。
鮭一匹を余すことなく使い切る先人の知恵が詰まった料理であり、軟骨のコリコリとした独特の食感と、甘酢のさっぱりとした味わいが特徴で、おせち料理の箸休めとして人気があります。
いか人参
いか人参は、福島県、特に中通り地方で古くから親しまれている郷土料理です。
細切りにしたスルメイカと人参を、醤油、酒、みりんなどを合わせた調味液に漬け込んで作ります。スルメイカの旨味が人参に移り、人参のシャキシャキとした食感が楽しめます。
本来は冬の間の保存食として作られていましたが、その手軽さと美味しさから現在ではおせち料理の一品としても定番になっています。
各家庭で味付けが少しずつ異なる、まさにおふくろの味です。
赤こんにゃく煮
赤こんにゃくは、滋賀県、特に近江八幡市の特産品です。
その名の通り、こんにゃくとは思えないほど鮮やかな赤色をしていますが、これは「三二酸化鉄」という食品添加物で着色されています。
織田信長が派手好きで赤く染めさせたという説や、近江商人が魔除けの色として用いた説などがあります。
おせち料理では、その縁起の良い赤色から煮しめの具材として使われ、料理全体に華やかさを加えてくれます。食感は通常のこんにゃくと変わりません。
にらみ鯛
にらみ鯛は、主に関西地方や近畿地方で見られるおせち料理の独特な風習です。尾頭付きの大きな鯛を丸ごと塩焼きにし、お重の中央や神棚に飾ります。
これは「めでたい」の語呂合わせとともに、年神様へのお供え物としての意味合いが非常に強いものです。
最大の特徴は、正月三が日の間は箸をつけず、文字通り睨むだけにとどめる点です。家族は鯛の縁起にあやかり、三が日を過ぎてから初めてその鯛を食べるという、関西の食文化を象徴する一品です。
こが焼き
こが焼きは、長崎県の郷土料理であり、卓袱料理の一品としても知られています。
魚のすり身に卵と砂糖をたっぷりと加えて混ぜ合わせ、型に流し込んで蒸し焼き、あるいは天火で焼き上げた料理です。
見た目は伊達巻に似ていますが、より厚みがあってキメが細かく、まるでカステラのようなしっとりとした食感と強い甘みが特徴です。
長崎はかつて海外貿易の窓口であり、砂糖が貴重品ではなかった歴史的背景が、この甘い卵料理を生み出しました。
べろべろ
べろべろは、石川県の金沢市を中心に食べられている郷土料理です。溶き卵をだし汁と共に寒天で寄せ固めて作られ、仕上げに生姜の搾り汁を加えるのが特徴です。
冷めて固まった姿がべっこうに似ていることから、べっこう玉子と呼ばれることもあります。金沢ではその独特のぷるぷる感や、つるりとした食感から、ユニークな愛称で親しまれています。
おせち料理の口取りとして、そのさっぱりとした味わいと美しい黄金色が食卓を彩ります。
【2026年】おせち料理を楽しむなら快適生活

おせち料理を自宅で簡単に楽しむなら、快適生活がおすすめです。プロ監修で美味しさが保証されたおせちが届きます。
| 商品名 | 特徴 |
| 「和洋ファミリーおせち」 雅ノ宴(みやびのうたげ) | 京都「閼伽井」監修。伝統的な和の品々と洋風の美味をバランスよく詰め込んだ、豪華な和洋折衷おせち。 |
| 神楽坂「夢二」監修「和風おせち」 福幸(ふっこう) | 東京・神楽坂の名店「夢二」が監修。中国産主原料不使用などにこだわった、本格的な和の品々が楽しめる三段重。 |
| 京都「閼伽井」監修 「和洋ファミリーおせち」 七福 | 京都「閼伽井」が監修。新年の七福を願う和洋ファミリーおせちで、少人数でも楽しめるサイズ感が魅力。 |
それぞれのおせちについてくわしく解説します。
「和洋ファミリーおせち」 雅ノ宴
京都の名店「閼伽井」が監修する、豪華な和洋折衷のおせちです。
雅ノ宴の名の通り、伝統的な京料理の技術を活かした雅な和の品目に加え、ローストビーフやテリーヌなど、家族三世代で楽しめる洋風の美味をバランスよく詰め合わせています。
神楽坂「夢二」監修「和風おせち」 福幸
東京・神楽坂の風情ある日本料理店「夢二」が監修する、本格的な和風おせちです。新年の福と幸を願う縁起の良い品々を、壱の重から参の重まで丁寧に詰め込んでいます。
京都「閼伽井」監修 「和洋ファミリーおせち」 七福
京都の名店「閼伽井」が監修する、もう一つの和洋ファミリーおせちです。七福の名前の通り、新年の福を呼び込む縁起の良い品々を厳選しています。
おせち料理の地域差を理解して美味しいおせちを楽しもう

この記事では、おせち料理の地域差について解説しました。
関東と関西のおせちでは、味付けや祝い肴三種、お雑煮などの違いがあります。地域別に使われる具材が異なることも、興味深いポイントです。
地域ならではのおせち料理として、「こが焼き」や「べろべろ」など、見慣れない料理も少なくありません。自分が知らないおせち料理を食べてみるのも、お正月の楽しみになるでしょう。
快適生活では、バラエティに富んだおせち料理を楽しめます。自分で作る手間をかけずに、おいしいおせち料理を食べたい人は、ぜひお試しください。
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